10月上旬に「スケッチ会」と称して北海道の知床半島に一週間ほど滞在してきました。
スケッチ会といっても、参加したのは私一人だけですが。
知床半島は世界自然遺産(日本では白神山地、屋久島などがほかに認定されています)に認定されているため、現在は一切の人の手を介した人工物を加えることが出来ず、またエリア内のものを持ち帰ることも禁止されています。
知床半島内で訪れた主な場所、およびアクテビティは下記になります。
・知床五湖散策
・羅臼岳(らうすだけ)登頂
・網走監獄博物館見学
・ヒグマ鑑賞ボートツアー乗船
・各所スケッチ
私はスケッチをもとにした風景などをそのまま作品として発表することはまずないのですが、外でスケッチをすることは大学に入る前から現在に至るまで継続して行っています。ではスケッチが自分の絵にどういう関わりを持つかというと、一言で言えば自分の頭の中から作り出した形やイメージからは得られない形の発見があるから行っています。
基本的に人が想像だけで描く形や線はその人のもつ固定観念や手の癖などが絵に反映されるため、極力デッサンは例え具体的な形がないような絵を描く場合も継続をお勧めします。
例えばキリンやパンダを普段からよく観察していない人にそれらの動物を想像だけで描かせるとキリンやパンダの柄と地の色の面積比率などは実際よりもかな偏っていたり、形も本物とは似つかわしくないことが多いです。
風景を描いている時も雲や水や木の形を自分の目で見て捉えることは自分の想像では生みだしえない形を捉える練習になるから行うという所があります。
実際の作品はこちら。
移動はすべて公共交通機関を使っていたため、遠出の目的地を目指しても帰りのバスや電車の時間を考えると(だいたい正午過ぎには帰る準備を始めるため)、現地で長時間絵を描く時間を確保するのは中々難しいのですが、目的地からの帰りのバス停や電車の待ち時間などに近くを歩いたりしてこれらの絵は仕上げました。
スケッチを行う際は移動の時間や自然の環境(天気が一定でなかったり、形が流動的なものも多いため)を考えても外で絵を描き続けるには時間的制約が常につきまといます。また場所が海外などになると地理的なことからなおさら何度も通うのが難しくなってきます。その時にスケッチで押さえるべきものが「構図』と『印象』です。この二つは絵の根幹を支えるものであり、これらはその現場でしか捉えられません。逆に細部の描き込みなどに関しては自宅に帰ってからでもゆっくりと行えます。細部に関してはカメラで撮影したものを補助的に使って描くなどしても個人的には良いかと思いますが、構図とその場の印象(空気)、これらは現地で本人の目を通してスケッチしないと中々出ないと思います。
構図とその場の印象を短時間で捉えるためには日頃から簡単なモチーフでも良いので短い時間で印象や形取り、構図の収め方を練習しておくと外に出ても同様に対象を捉えることが出来るようになります。本当にささっとで良いので、自分が描いている紙にちょうどよく対象を収め、陰影をつけたり空気感を出すような練習を気軽に行うことが大事です。
知床への主目的はは風景スケッチを行うことだったのですが、現地に着いてみると他にも色々と楽しそうなイベントがあり山に登ったり、ボートに乗ったり、と想定外のこともいくつか行いました。それらは次回に内容をお伝えしたいと思います。
知床五湖。
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