再開発が進みニューヨークなのかフィリピンなのか、どこを目指しているのかよくわからない、なんとも言えない異様な様相の渋谷の街で今、異様な様相の展覧会が行われています。
フェルナンド・ボテロ展です。
ボテロ展はBunkamuraミュージアムで開催されています。
あまり馴染みのない作家かも知れませんが、名古屋と京都にも巡回するほどの大御所作家です。ちなみにボテッとしてるからボテロでなはくボテロは本名です。
コロンビア出身の作家で21歳以降はヨーロッパ各地を回りながら絵を描いています。
ボテロを世界的に有名にしたのが31歳の時にニューヨークの現代美術館<MOMA>でモナリザが展示されたのと同時期に展示されていた『12歳のモナリザ』という作品でした。この作品が展示されたことをきっかけに一気に名前が世界中に広まったそうです。
今回の展覧会では2020年に描かれた最新作の<モナリザの横顔>という作品がメインの作品として展示されています。
むちむちしすぎているのですが、どこかユーモラスで、あまり美術館ではないことですが館内のいろんな所から笑い声が聞こえてきました。
確かに本物を見て、こんなのがいっぱい並んでいると笑ってしまいます。
外見的には面白くて笑えてしまうのですが、技術的なことにおいてもとても秀でている人で、顔の陰影やパーツの描写一つ一つは非常に繊細です。また作品が非常に大きいのでインパクトがあります。ピエロ・デラ・フランチェスカの作品に強く影響を受けたらしく、オマージュ作品も描かれています。比較すると面白いです。
磔刑図のキリストやローマ法王がお風呂に浸かってる絵(いずれもボテっとした体型で描かれている)などは特にインパクトがありました。
ちょっと顔がサザエさんに出てくるキャラクターに似てると思うのは私だけでしょうか?(笑)
ルーベンスのバキバキ逆光な絵画も…
ボテボテむちむちの和菓子みたいになっております(笑)
ドミニク・アングルの貴婦人の肖像画なんか、
なぜかおっさんになっています!!!何でおっさんなのか全く分かりません(笑)
実際はこんなにお綺麗です。
ボテロが若かった当時のコロンビアは政治的に非常に大変な状態にあり、現在もけして治安の良い国とは言い難いのですがそういったことを感じさせない明るい色彩が印象的でした。
本人も暗い絵を暗く描くのではなく、明るく描くことによって人々に関心を持ってもらいたいと言っていました。
南米の亜熱帯を感じさせるようなピンクや黄色や赤の暖色が目立ちました。
メキシコの建築家で『ルイス・バラガン』という好きな建築家がいるのですが、バラガンの建築と似た南米特有の明るい色彩を感じました。
グッズ売り場では使う用途は全くないのですが思わず気に入って買ってしまいました。
カードケースです。こちらが前述したお風呂に浸かったローマ法王?になります。カソリック教会からなんか言われないのか不安になります(笑)
なお展覧会は平日は全作品の写真撮影が可能らしいのですが、土日は限られた数点の作品のみが撮影可能で、他の作品は撮影ができませんでした。私が言った日は土曜日のため写真が撮れなかったのでわざわざミュージアムショップで欲しい画像についてはポストカードを買ったりして掲載しました。
こちらの花の作品などは今展覧会の中でも最も目を引く作品でした。展覧会の構成としてもとても良い場所に設置されており、角を曲がった時に一気に色が視界に広がる感じで見ごたえがありました。(すごい大きい作品です)
あまりに明るく素敵な絵で、しばらく立ち止まって見入ってしまいました。
こんな感じでちょっと綺麗とか上手いだけではない、メタボ気味の人がたくさん登場する不思議な展覧会が渋谷で開催されています。
ちなみによく日本の健康診断などで『メタボリズム』という単語が出てくると思いますが、『メタボリズム』とはもともと新陳代謝を意味する用語です。他に『メタボリズム』は建築様式としての意味合いもあります。
<1960年代の日本に、未来の都市像を夢見て新しい思想を生み出した建築家たちがいました。丹下健三に強い影響を受けた、黒川紀章、菊竹清訓、槇文彦といった建築家たちを中心に展開されたその建築運動の名称は「メタボリズム」。生物学用語で「新陳代謝」を意味します。それは、環境にすばやく適応する生き物のように次々と姿を変えながら増殖していく建築や都市のイメージでした。東京湾を横断して伸びていく海上都市、高く延びるビル群を車が走る空中回廊でつないだ都市など、その発想の壮大さには驚かされます。 メタボリズムが提唱されたのは、戦争で荒廃した日本が復興し高度経済成長期へと移行した時代です。そこには理想の都市を通じて、よりよいコミュニティをつくろうという思いもありりました。> 『メタボリズムの未来都市展』より抜粋
展覧会を見終えて渋谷の街中を歩いていると、無尽蔵に立ち並び今も増改築を続ける渋谷のビル群を見てそんなことを思い出しました。
そしてそんなことを思っていたら先日ネットで渋谷の道玄坂に新たなラグジュアリーホテルが出来るとの記事を見かけました。目にとまったので下記に引用を載せます。
<「TRUNK(HOTEL) DOGENZAKA(仮称)」は、「渋谷・道玄坂にありながらカジュアルに染まらない、遊び慣れた大人をターゲットにしたラグジュアリーブティックホテル」としている。ここでいうブティックホテルとは、店舗ごとに異なるコンセプトを追求する高級ホテルの業態を指しており、エリア最大級のルーフトッププール、ルーフトップレストラン&バー、シアタールーム、スパ、さまざまなジャンルのレストランなど、豊富なエンターテインメントを備え、「“上質な渋谷のカオス”を堪能できる」としている。>
だそうです。
上質な渋谷のカオス”を堪能できる、カジュアルに染まらない、『遊び慣れた大人』…
どんなやつだよそれ(笑)
少なくとも自分のお父さんがそんな人だったら結構嫌ですね(笑)
昔『上質を知る人へ、ネスカフェ・ゴールドブレンド』ってコピーがありましたが、こちらはもう上質を知る人の『ドウゲンザカ・ウルトラカオスブレンド』ですね(笑)
話がどんどん逸れていきますが、昔働いていた職場である時会議があり「講師の皆さん何か新しい催しの提案はありますか?」と言われたので、午前0時から始まる『ミッドナイトクラス』というクラスの設立を提案したことがありました。
内容は、
<お茶の代わりにお酒が出る、BGMは歌いたいやつが勝手に歌ってるカラオケ、眠くなったらいつでも寝れる仮眠室が完備され、絵を描いても飲んでてもなにやっててもいい、不法地帯的なクラスです!!>
と言ったら…
即却下されました(笑)
しかし、それをいまこそ実行するべきなのではないのか(何でだよ!)と思いました。
ズバリキャッチコピーは、
<終電を逃して、でもビジネスホテルに泊まる金はない、ギリギリの日給で毎日高架下で発泡酒を飲んでいる『デンジャラスなオヤジ達』がターゲットです!!>
…それお前じゃん!
とか、書いててちょっと思ったのが悲しいですね(笑)
ですので普通にアトリエでは、
<日常の生活に、カジュアルな日本画を取り入れたい、常識のある大人>
を今まで通り募集したいと思います。
油を使った油絵や油コッテリのラーメンなどもいいですが、心も体もメタボ気味な方、どうぞ心と体にヘルシーな日本画をお試し下さい!
随時体験レッスンも行っております!
なお、言わずもながな実際にアトリエにデンジャラスな大人は一人もおりませんのでご安心ください.
いるとしたら、多分私くらいです(笑)
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